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絵馬からみた日本の歴史と伝統
平成30年9月7日~12月9日(金・土・日開館展示)
中島克人
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全国の絵馬約350点大集合

 出張で全国各地を飛び回っていた三十年ほど前、空き時間を利用し、古くから「日向の眼の神様」として知られる宮崎市の生目神社に立ち寄った。そこで何気なく購入した絵馬を自宅の壁に掛けて眺めるうちに、その魅力に引き込まれていった。以来、出張のたびに行き先にある神社で絵馬を買い求めるようになり、定年後には三百枚を超える絵馬が壁を埋め尽くした。年齢を重ねた今、自分が健康なうちに、集めた絵馬を地域の皆さんにもご覧いただこうと、今回の展示会を開催する運びとなった。

 絵馬は生きた馬を寺社に奉納する慣習が起源とされ、多くが五角形をしているのも馬小屋の名残とか。

 一般的には横長の五角形が知られているが、浅間大社の正五角形、武田神社の菱型、身曽岐神社の丸形、気比神社やお初天神の鳥居形、金崎宮の塩袋形、貴船神社の屋根付きと形状も様々だ。素材も木材だけでなく、飛騨高山の紙や大覚寺の合紙などがあり、中には有田皿山宗廟八幡宮の有田焼陶板といったものも存在する。

干支にちなんだ馬以外の動物が描かれた絵柄も多いが、三本足の八咫烏(やたがらす)のような「変わり種」もあるのが絵馬の面白いところ。この絵馬を置く日進市の白山宮足王社は「足の神様」が祀られ、近年はサッカーファンも訪れる。今回の展示では、サッカー日本代表のシンボルに採用された八咫烏の「必勝祈願」の絵馬も紹介。

 他に、シーラカンスのような魚(興福寺)、桃太郎と鬼(桃太郎神社)、恵比寿と大黒(砥鹿神社神社)、天狗(小御嶽神社)など、全国の個性豊かな絵馬を展示する。また、「安珍清姫伝説」の舞台となった和歌山県・道成寺の絵馬には清姫が美しく描かれており、芸術品としても鑑賞できる。こうした奥深い絵馬の世界から、ご来場の皆さんにとっても新しい発見があることを願う。